4978.jpg
結婚式で撮った友人たちの「集合写真」 フェイスブックに勝手に投稿してもいいの?
2015年01月25日 14時40分

「自分が出席した結婚式の集合写真がフェイスブックに流れている」。東京都内のIT企業につとめるMさんは、自分のうつった集合写真が友人の手によって、投稿されたことに気付いた。さらに「タグ付け」までされていたため、自分の友人・知人にその写真を見られることになった。

Mさんは、自分のプライベートを勝手にさらされたような気分になり、「ひとこと断りをいれてほしかった」と憤った。ただ、お祝いの席のことなので、友人には強く抗議できなかったそうだ。

「いつ」「どこで」「誰と」「何をしていたか」という情報は、プライバシーにかかわる情報だ。結婚式で撮った誰かの写真を無断でSNSに掲載することは、法的に問題ないのだろうか。伊藤雅浩弁護士に聞いた。

「自分が出席した結婚式の集合写真がフェイスブックに流れている」。東京都内のIT企業につとめるMさんは、自分のうつった集合写真が友人の手によって、投稿されたことに気付いた。さらに「タグ付け」までされていたため、自分の友人・知人にその写真を見られることになった。

Mさんは、自分のプライベートを勝手にさらされたような気分になり、「ひとこと断りをいれてほしかった」と憤った。ただ、お祝いの席のことなので、友人には強く抗議できなかったそうだ。

「いつ」「どこで」「誰と」「何をしていたか」という情報は、プライバシーにかかわる情報だ。結婚式で撮った誰かの写真を無断でSNSに掲載することは、法的に問題ないのだろうか。伊藤雅浩弁護士に聞いた。

●「ただちに違法になるわけではない」

「端的にいえば、プライバシー権とは『私生活上の情報をみだりに公開されない権利』のことです」

伊藤弁護士はこう切り出した。多くの人は、私生活上の情報を勝手に公開された場合、「プライバシーを侵害された」と思うだろう。法律に違反しているといえないだろうか。

「プライバシー権を侵害すると、民法上の不法行為になるので、損害賠償請求を受ける可能性があります。

一方、プライバシー権の侵害があったかどうかについて、裁判例では『一般人の感受性を基準にして、当該人物の立場に立った場合に、公表してほしくないかどうか』で判断するとされています。

つまり、その人がたまたま『嫌だ』と感じたからといって、ただちに違法になるわけではないのです」

●協力しながら気持ちよく利用できる環境づくりが重要

しかし、「いつ、どこで、誰と、何をしていたか」という情報を公開してほしくない人は多いだろう。そのような情報は保護されないのだろうか。

「たしかに、そのような情報の中でも、プライバシーとして保護される情報は多数あります。

また、もちろん結婚式の場合でも、新郎や新婦ほかとの交友関係を知られたくなかったという人もいるかもしれません。

しかし、『知人の結婚式に出席した』という情報が、一般人の感受性を基準にして公表してほしくないかというと、現時点ではそこまでは言えないように、私は思います」

伊藤弁護士はこのように解説したうえで、次のようなエピソードを紹介していた。

「私が最近出席した結婚式では、SNSへの投稿に関して、最初に新郎と新婦からの要望・ルールが伝えられました。フェイスブックの利用者でも『タグ付け』の事前確認機能をオンにすることで、一定の制限がかけられます。

主催者も利用者も協力しながら、気持ちよく利用できる環境づくりをしていきたいですね」

お互いを気遣うことが大切だといえそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る