この事例の依頼主
男性
相談前の状況
弁護士を代理人に就けた母親と妹から、10年以上前に成立した亡父を被相続人とする遺産分割協議は無効であること及び母親名義の自宅から退去しろと主張され、困惑しているとのご相談でした。そこで、当職が正式にご依頼を受け、代理人として対応することになりました。
解決への流れ
当職が代理人として相手方代理人と協議しましたが、相手方は主張を取り下げることはなく、簡易裁判所に調停の申立てがなされました。調停の場でも、相手方は遺産分割協議は無効であるとの一点張りであったため、調停は不成立となりました。その後、母親が原告となり、依頼者と妹を被告として、遺産分割協議無効確認請求訴訟を提起されました。当職は、当時、依頼者の亡父を被相続人とする遺産分割協議に関与した税理士さんのご協力を得て詳細な陳述書を作成し、裁判所に提出したところ、裁判官から、当方勝訴の心証が開示されました。そうしたところ、原告である依頼者の母親が訴訟係属中に死亡したため、被告である妹が亡くなった母親の原告としての地位を承継し、訴訟が継続されることになりました。ところが、亡くなった母親が、妹に全財産を相続させる旨の公正証書遺言をのこしていたことが判明したため、今度は、依頼者が原告となり、妹を被告として、遺留分減殺請求訴訟を提起し、審理を継続した結果、最終的に、遺産分割協議が有効であることを確認したうえで、母親名義の自宅については、遺言により相続した妹と依頼者との共有とし、依頼者が自宅から退去せずに済むという内容で、当方の勝訴的な和解が成立しました。
10年以上前の遺産分割協議が無効であるとの相手方の主張についてはもともと無理がありましたが、当時、その遺産分割協議に関与した税理士さんにご協力いただき、裁判官が重視するポイントをおさえた説得的な陳述書を作成したことが、裁判官による当方勝訴の心証形成につながりました。また、亡母親の遺言による妹に対する遺贈に対し、遺留分減殺請求訴訟を提起し、妹の特別受益等の主張・立証を粘り強く続けた結果、当方の勝訴的和解につながりました。依頼者からは、長年にわたって慣れ親しんだ自宅から退去せずに済み、これまでの精神的な負担から解放されたことに大変感謝していただきました。