この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
ある日ご兄弟が亡くなり、その成年後見人であった弁護士より「遺産分割をしてください」と、資料を受け取ったMさん。「どう対処したら良いかわからず、今後とるべき手続き等について教えてほしい」と、当事務所へご相談にいらっしゃいました。そこで相続人の範囲・今後の流れ等についてご説明し、改めてMさんの状況を確認したところ、10名を超える相続人がいると判明。相続人の人数がかなり多く、Mさんご自身で処理されることは困難だ、との事でご依頼を頂きました。
解決への流れ
まずは相続人を特定すべく調査を行い、最終的には、相続人が15名もいると判明。その後はすぐに各相続人へ連絡を取り、遺産分割に関する説明等を実施しました。また上記相続人の中には、数十年前より行方不明となられた方もいらっしゃり、別途、所在の調査(ご家族への聴取など)をいたしました。結局、その方の所在はわからず、不在者財産管理人を選任、選任された管理人には遺産分割協議へと加わって頂き、他相続人とともに遺産分割協議を行いました。協議成立後は、遺産分割協議書を作成し、協議書に従い遺産を分配することで、本件は無事終了いたしました。
本件は、相続人の数が多く、中にはご高齢(90歳以上)の方や行方不明者の方もいらっしゃるという事案でした。相続人の中にご高齢の方が含まれる場合、その方の意思能力(法律行為を有効に実施するための理解・判断能力)の有無に注意しなければなりません。たとえば、認知症により意思能力を欠く場合、その方が実施した遺産分割協議での合意は無効となる為、協議は成立しません。このようなケースでは、家庭裁判所に成年後見人の選任を申立、成年後見人を選任する必要があります。また、行方不明者がいる場合、所在が判明しなければ、裁判所へ不在者財産管理人の選任を申立、不在者財産管理人を選任しなければなりません。上記の通り、遺産分割では、相続人の状況に合わせて、各種公的な手続きを取る必要が生じるケースも多々あります。また、相続人の数が多いほど、相続人間での連絡・合意形成は困難です。そのため、本件のような場合には、早期に弁護士へ相談されることをおすすめいたします。