この事例の依頼主
40代 女性
相談者の方は、Aさん(40代女性)です。Aさんの夫Bは、普段は温厚な方なのですが、お酒が入ると、暴力をふるういわゆるDV夫でした。小学生の子供が2人(6歳、8歳)おられることから、子供のために離婚をすることは避けようと考えていましたが、子供も「お父さん怖い」という話をされるのを聞いて、別居をした上で、離婚の手続きを進めたいということで相談にお越しになられました。離婚を進めるにしても、何をどのように進めていいのかわからず、途方に暮れていたという様子でした。
DVを振るうような夫は、妻が弁護士に相談をしているなどということをしったら、激昂をして何をするのかわかりませんので、Aさんの身の安全を考慮しながら相談を進めることになりました。別居を開始するにしても、別居後、直接、家にでも夫Bが乗り込んでくるようなことがあれば、危険ですから、Bさんが知らないAさんの親戚の家にまずは身を隠すことにしました。別居するタイミングで当職から、受任通知を送って直接、Aさんに連絡をしないように手配をしました。すぐに、東京家庭裁判所に離婚調停を申し立てて、裁判所を通じた協議のチャンネルを作って、BさんがAさんに対して変な行動に出ることがないように戦略を立てて、話を進めました。調停の中では、夫のBさんは、離婚に応じるつもりはないということを執拗に言い続けておりました。Aさんが家事をまともにしないとか、子供の教育がなっていないなど、Aさんを非難をすることを続けておりました。第3回目の調停期日には、Bさんも弁護士を立てて、離婚をしない旨争う姿勢を見せておりましたが、Bさんは、監護者の指定、子の引き渡し、面会交流の主張をしておりましたが、審判においては、いずれもAさんの主張が反映されるような結果を得ることができました。離婚に関しては、最後まで、応じる姿勢を見せなかったことから、調停は不成立に終わり、離婚訴訟を東京家庭裁判所に提起することになりました。離婚訴訟では、離婚事由の有無(DVの有無)、慰謝料請求、財産分与等が中心的な争点になりました。DVの有無については、Aさんがスマートフォンを用いて、DVの状況の音声や映像などを取っていたことから、それを証拠として裁判所に提出しました。Bさんとしては、離婚については、避けられないと思ったのか、訴訟の審理の中間地点においては、主要な争点は、離婚をするにしても財産分与等の離婚給付をどうするのかが争点になりました。夫Bさんは、当初、「離婚には応じるから、預貯金の1000万円を渡すからマンション(3500万円時価)については分与をしないという話をしておりましたが、最終的には、裁判所からの強い説得を受けて、財産分与として総額2500万円、慰謝料として200万円を支払うということで訴訟上の和解をすることができました。
本件では、DV夫は執拗に離婚を回避する主張をし、また、妻であるAさんの妻としての姿勢を非難することを続けておりました。身体的な暴力だけではなくて精神的な攻撃を執拗にする夫であったことから、Aさんも大変な生活を送られていたのだと思います。調停においても、話し合いの余地がないと判断をして、調停は不成立にして裁判手続きで対応をすることにしました。離婚調停と離婚訴訟と最終的に解決までには、2年ほどかかりましたが、ほぼすべてご依頼者様の希望に沿った結果となることができました。とても、良かったと思います。結婚は、夫婦と子供とが「幸せな生活」を送るための制度です。結婚生活を続けていくことが、あなたにとって「幸せ」とは感じられないのであれば、どこかを見直さなければならないはずです。自分と子供の将来の生活を考えたときに経済的な基盤や生活の基盤が重要です。ですから、簡単に離婚を進めることは致しませんが、離婚があなたにとって最善の選択肢であると考えた場合には、是非弁護士に一度相談をしてみてください。