この事例の依頼主
40代 女性
相談前の状況
ご相談者は、職場で知り合った既婚者の男性と交際し、肉体関係を持ってしまいました。その後、男性の妻に発覚し、その妻が依頼した弁護士が不貞行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起し、約200万円の支払いを命じる判決が確定しました。ご相談者は、ほかにも約100万円ほどのカードローンがあり、上記債務を合計すると、毎月のパートの収入からは支払いができない状態でした。
解決への流れ
ご相談後、自己破産の申し立てをすることになりました。ご依頼後、約3カ月ほどで申し立てをし、無事に破産開始決定(同時廃止)がおり、破産手続は終結しました。結果として、約100万円のカードローンはもちろん、約200万円の不貞行為に基づく損害賠償債務も免責され、ご相談者は一切の負債を消すことができました。
破産法253条1項2号により、「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」は、破産しても、免責が認められないことになっています。そこで、不貞行為に基づく慰謝料請求権は、「悪意で加えた不法行為」といえるかが問題となります。「悪意」とは、単なる故意ではなく、「相手を積極的に傷つけてやろう」という積極的な害意であると解釈されています。不貞行為の場合では、一般的には、積極的な害意があるとまではいえないケースが多いでしょう。そのため、不貞行為に基づく慰謝料請求権は、自己破産をすると免責される可能性が非常に高く、本件はまさにそのようなケースでした。