この事例の依頼主
男性
相談前の状況
依頼者様のお父様は、全ての遺産を妻に相続させるという遺言公正証書を作成された後にお亡くなりになりました。依頼者様は、お父様がお亡くなりになった後で初めて遺言公正証書の存在を知り、遺留分減殺請求をすることができないかという相談に来られました。
解決への流れ
依頼者様は、お父様の遺産の内容を把握されていなかったため、依頼者様のご記憶をもとに相続財産の調査を行いました。その結果、3000万円を超える相続財産が発見されましたが、依頼者のお話を聞いていると遺言の有効性にも疑問を抱くようになりました。そこで、お父様が入院されていた病院のカルテや介護認定の資料を取り寄せ、内容を精査したところ、遺言を行った当時の意思能力に疑問を生じさせる記載が見つかりました。上記の下準備の後、遺言で全ての遺産を相続した相手方に対し、遺言公正証書が無効である旨の指摘と、念のための遺留分減殺請求の意思表示を行いました。その後、相手方との交渉が続きましたが、最終的には、相手方が、遺言が有効である場合の支払額(1/2✕1/2=1/4)と遺言が無効である場合の支払額(1/2)との中間値(約1.5/4)の金額を支払うという内容での和解が成立しました(調停・訴訟前の和解)。
遺留分を侵害する遺言がされている事案では、遺言の有効性を争ってほしいというご要望を受けることが多々あります。しかし、遺言無効確認訴訟を提起しても敗訴をしてしまうと時間と労力を大量に消費してしまいますので、遺留分減殺請求(遺留分侵害額の請求)を行うのか、遺言無効確認訴訟を行うのかの見極めが非常に重要となります。この点に関しては、過去の裁判例をもとに精度の高い判断をご提供するよう心がけております。