犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割

市場価値に乏しい不動産を適正に評価するなどして有利な遺産分割をした事例

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片山 賢志 弁護士が解決
所属事務所川崎法律事務所
所在地奈良県 奈良市

この事例の依頼主

女性

相談前の状況

Aさん(近畿地方在住)は、お父さんである亡X氏の遺産相続について、弟のBさん(関東地方在住)から遺産分割調停を申し立てられました。亡X氏の主な遺産は、複数の不動産(全て近畿地方に所在・ただし、Aさんの住所地とは異なる都道府県に所在)と株式・社債・投資信託などの金融資産でしたが、Bさんは、自身は関東地方在住であり、近畿地方にある不動産の管理は困難であること、全ての不動産の固定資産評価額の合計額と金融資産の価額がほぼ同額であることを理由に、自身が金融資産全てを取得し、Aさんが不動産全てを取得することが合理的であると主張しました。Bさんの主張は一見すると合理的であり、担当する調停委員もBさん寄りで事件が進行しました。しかし、亡X氏の不動産は殆どが田畑や山林であり、相続人自らが管理を行うことは困難であり、また実際には市場価値に乏しく、Aさんが不動産のみを押し付けられると、とても不公平な結果になる事案でした。対応に窮したAさんは相談に来られました。

解決への流れ

Aさんから依頼を受けた担当弁護士は、まず不動産を現地で自ら確認し、関係資料を収集して調査を行いました。その結果、市場価値が著しく乏しく固定資産評価額が適正とは言い難い不動産が含まれており、実際には金融資産の価額が不動産の価額を大きく上回ることが判明しました。また、担当弁護士は、不動産の殆どは地元住民に管理委託されており、Bさんが不動産管理のために近畿地方に来る必要は殆どなく、関東地方在住でも十分に管理できることや、AさんとBさんが不動産の所在地に赴くのに必要な時間は殆ど同じであること、その旅費についてもBさんに管理を任せることが不合理といえるほどの差はないことなどの具体的事実を丁寧かつ説得的に主張・立証しました。その結果、当初、Bさん寄りであった調停委員も次第にAさん寄りになり、最終的には、金融資産をAさんとBさんが概ね2分の1ずつ取得し、不動産についても両者十分に協議し、各自が納得できる不動産を取得することで円満に調停が成立しました。

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片山 賢志 弁護士からのコメント

遺産分割調停が始まった後にご依頼頂いた事案です。調停委員が相手方寄りの心証を形成している状態からスタートしたので、調停委員を十分に説得し、心証をこちらに引き寄せることがポイントとなる事案でした。複数の弁護士で協議したり、不動産関連事件でいつもご協力頂いている不動産業者さんに意見を伺ったりする過程で様々な視点に気付き、これら視点に基づいて丁寧かつ説得的な主張・立証を行うことで、有利に調停を進めることが可能となりました。