この事例の依頼主

男性

相談前の状況

私が相談者から相談を受けた段階では、相談者が兄と妹を相手に母親の遺産分割の調停申立てをしており、調停も数期日が行われていた。母親の相続財産は、実家の土地、建物、預貯金、定期借地に出している土地等でした。妹は「兄両名は、これまで多額の現金、預貯金等を取得し、次兄(相談者)は結婚時に居宅の建築資金や結婚式費用等を親に出してもらっているいるので、これらは特別受益として相続財産に持ち戻し、実家は自分が取得したい。」と主張して譲らず、協議は膠着状態であった。

解決への流れ

相談者の代理人として、調停期日に相談者と共に出頭し、妹に色々説明したがなかなか納得してもらえず、結局特別受益の一部を認めることとし、実家の土地建物は売却して3等分し、現金と預貯金も3等分する。定期借地に出している土地は兄と相談者が2分の1ずつ取得し、妹は実家の土地の一部の駐車場を取得するとの内容で協議がまとまり、調停成立となった。この間調停委員に妹を説得してもらったり、代理人(相談者)側で自ら調停案を作成して調停の場に出すなどの努力をした。

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有満 俊昭 弁護士からのコメント

遺産分割の紛争は、遺産を兄弟姉妹で争うケースが多い。実家の財産を管理していることの多い兄や弟の側は「結婚して家を出て、その後親の面倒をほとんど見てこなかったのに、いざ遺産分割の段になるときっちり法定相続分を主張するのは納得がいかない。」と主張するのに対し、姉や妹の側は「兄や弟は実家の財産を管理し、親の面倒をみて来たと言うが、実家の財産もきちんと管理せず、勝手に財産を使っているので、最低でも法定相続分を貰うのは当然。」と主張し対立するケースがかなりの割合を占める。さらに姉妹の側にはその配偶者が裏で遺産分割に関与していたりするなどして、ますますこじれる原因になっている。これらの場合も両者の感情の対立を緩和し、協議を成立させるために弁護士の果たす役割は大きいと感じる。