この事例の依頼主
女性
相談前の状況
先妻の子から配偶者(相談者)に対し遺産分割調停の申立てがあり、何回か調停期日が開かれていた。被相続人(夫、先妻の子の父)の相続財産は、預貯金だけであったが、申立人(先妻の子)は、相談者はずっと無職であり、相談者名義の預貯金は実質的に父の出したものであり、父の相続財産として遺産相続の対象に含めるべきであると主張していた。
解決への流れ
代理人に就任後調停期日に出頭し、「配偶者が無職でも配偶者名義の預貯金口座は、配偶者のものと推定され、仮にその出所が夫の金員であったとしても、夫婦の生活費等として振り込まれていたものであって、相続財産とすべきものではない。」旨主張し争った。結局その後、数回の期日が開かれたが、まとまらず、最後に、相談者も法定相続分2分の1のところを3分の1まで譲歩するので、相談者名義の預貯金は相続財産から外し、預貯金を当事者3名で平等に分割することで調停成立となった。
先妻の子と配偶者の間の相続財産を巡る争いの場合は、兄弟間の相続争いと違う面で困難さがある。兄弟間の場合は、小さいころから交流があり、お互いある程度親しい関係にあるが、結婚後の事情等の違いで感情にすれ違いが生じ、紛争解決が困難な面がある。一方本件のような場合は、これまでお互いあまり交流がないので、話し合いの糸口が少なく、信頼関係もないことが多いので、ある程度信頼関係を造る必要性があるが、弁護士が中に入って、その役割を果たせるのではないか。