犯罪・刑事事件の解決事例

退職をして,自分でお店を開いたら1500万円の損害賠償請求をされました。

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清水 廣人 弁護士が解決
所属事務所中村・清水法律事務所
所在地東京都 千代田区

この事例の依頼主

30代 女性

相談前の状況

まつ毛エクステのお店で働いていました。待遇が悪く,パワハラのようなこともあったので,お店を退職して,まつ毛エクステのお店を始めました。退職したお店の駅には,他に4つのまつ毛エクステのお店があり,また,同じ駅でお店をやらない方がいいと思い,隣の駅でお店を始めました。しばらくすると,退職した会社から1500万円の損害賠償請求がきました。請求を拒否すると訴訟を提起されました。

解決への流れ

訴訟は,完全勝訴でした。これで心おきなくお店を営業することができます。ありがとうございました。

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清水 廣人 弁護士からのコメント

裁判では,いくつかの内容が争われましたが,主に2つです。①退職する行為が不法行為に該当するか。②退職した2日後に隣の駅で同じようなお店をやってよいか。雇用契約や退職時の契約,就業規則などにもよるので,全ての事例に共通するわけではありませんが,本件では,①も②も全く問題ないという判断がでました。退職する行為には,職業選択の自由とりわけ退職の自由の保護が及びますから,従業員が退職したことにより,会社が損害を受けたとしても,会社はそれを甘受しなければならないということがあらためて確認された判決でした。退職する行為は,会社に損害を与えることのみを目的とするような加害行為そのものといえるような極めて例外的な場合をのぞき,不法行為を構成しないという判決内容です。特に本件では,実質的に2人で運営している店舗で,2人が同時に退職してしまい,店舗がつぶれてしまったので,原告側が訴訟までしてきたのかもしれません。ですが,たとえ従業員が10人いて10人が同時に退職して,競業他社を設立しても,それにより会社が倒産しても,不法行為にはなりません。次に競業の問題があります。すぐ近くで同種同様のお店を開店すれば,激しい競争になりますから,紛争になりますが,原則的に問題の無い行為です。憲法で人権として職業選択の自由がありますから,例えすぐ近くでお店をやっても,自由ということになります。通常は,競業避止義務を定める特約をしますから,その場合は,競業が禁止され,競業避止義務違反になると損害賠償請求が認められてしまいます。本件では競業避止義務の定めがなかったので,競業には支障がなかったのです。この訴訟では,1審の地裁では,決着がつかず,2審の高等裁判所までいきました。1審判決の段階で大部分で勝っていましたが,一部で相手方の請求が認められていました。しかし,一部でも負ける理由がない訴訟でしたので,こちらから控訴して,2審で負けた一部について争いました。結果,2審で全部勝訴しました。1審と2審でこちらの主張は全く変更していないので,1審で負けた理由はわかりませんが,結果として,2審で正しい判断を頂けたので,良かったと思います。退職して,同業を営む,同じお店を開店するという場合は,注意が必要です。トラブルになる前に弁護士にご相談ください。